甲冑講座を開催しました

5月5日は子どもの日です。当館では、親子で楽しく!見て触れる甲冑講座「甲冑をみてみよう」を開催して本物の甲冑を間近で見てもらいました。

甲冑講座は、昨年から子どもの日の講座として開催し、今回2回目となります。講座中は、子どもたちからたくさんの質問がありました。

今回あった質問のうちの一つに甲冑の重さがあります。甲冑の重さはそれぞれ異なりますが、室町時代末期頃に完成し、その後主流となった当世具足はおおよそ10~15㎏となります。なお、主に当世具足以前に用いられていた大鎧は20㎏以上あり、胴だけでも10㎏を超えていました。大鎧と同じ時期に使用された腹巻は胴だけでおおよそ5㎏であったようです。合戦の変化などで改良された当世具足は、基本的に軽量化されたといえるでしょう。

左 腹巻(複製)
右 当世具足(江戸時代)
当世具足とは、今様の具足という意味であり、新形式の甲冑であったことから名付けられて定着した。従来の甲冑は昔具足と呼ばれた。後には具足といえば当世具足のことを指すようになった。

 

講座で使用した甲冑は当世具足(江戸時代の実物と複製)、腹巻(複製)などです。これらの甲冑は重さを量ったことが無かったので、良い機会と思い講座終了後に量ってみました。まず量ったのはこちらの胴です。これは五枚の鉄板を蝶番でつなぎ合わせた五枚胴形式で、仙台藩がこの形式を用いたことから仙台胴とも呼ばれています。こちらは7.332㎏でした。

五枚胴(仙台胴)
この胴は五つの鉄板を蝶番で繋いでいるほか、肩上(肩部分)も同じく蝶番で繋がれている。この形式の胴は近世の胴の中でも重厚な造りといわれている。

 

次はこちらの胴です。この胴は簡素な造りとなっており、足軽などが着用しました。足軽などは自前で甲冑を用意せず、主君から貸与されたものを着用します。このため、足軽の着用した胴は御貸胴とも呼ばれています。この胴の重さは4.336㎏でした。

二枚胴(御貸胴)
二枚の鉄板を蝶番で繋いだ胴。この胴は簡易な造りで、足軽はこれに陣笠と簡易的な籠手を着ける程度であった。胴正面は主君の家紋などを大きく入れる場合が多い。この胴は赤の波線を入れている。

最後はこちらの具足です。この具足は兜、面頬、胴、籠手、脛当で構成され、着用者は所謂下級武士級と思われます。胴は5.01㎏、兜は1.626㎏で、具足全体の重さは8.232㎏でした。

当世具足(御貸具足)
頭を守る兜、顔を守る面頬、腕を守る籠手、脛を守る脛当で構成されている。兜は頭形兜、胴は二枚の鉄板を蝶番で繋いだ二枚胴。
裏には番号が付されているため、御貸具足であろう。ただし、御貸具足着用者の中では比較的上位の者が着用したと思われる。

講座で使用した中で一番軽い胴は足軽などが着用した二枚胴で、4.336㎏でした。この胴は大勢に貸与する必要から簡易的な造りであり、軽量であったことが窺えます。また、戦場では動き回るほかに様々な作業を行うため、軽量で動きやすい方が都合も良かったでしょう。対して五枚胴は重厚で7.332㎏、兜や籠手などが揃えばそれなりの重量であったと思われます。ちなみに複製の腹巻は5.686㎏、大袖を付すと8.438㎏でした。軽い甲冑であっても、暑い日でも歩き回ることを考えると大変そうですね。

博物館では様々なイベントを行っています。ぜひご参加ください。