
野田市域の江戸川沿いの旧岩名(いわな)村を中心とした一帯は、明治から大正時代にかけて盛んに桃の栽培が行われており、紀行文作家として知られる大町桂月は、「野田の桃を見ずんば、未だ桃花の観を談ずべからざる也」と評しています。
そこには「座生沼」(ざおうぬま)と呼ばれる沼地が広がっており、当地を訪れた文人墨客たちは、桃林とあわせて中国の理想郷、“桃源郷”に例えたのでした。
本展示では、秋場桂園・松田秀軒による『観桃余芳』、宮本鴨北の『野田観桃記』といった野田の桃花観賞に訪れた人々による漢詩文をとおして、当地を訪れた人たちが見た桃林と座生沼の姿をご紹介します。
今では見ることができなくなった、満開の桃花と座生沼の織りなす風情に思いを馳せていただければ幸いです。
開催概要
- 会期
- 令和3年10月9日(土)〜12月17日(月)
- 会場
- 野田市郷土博物館1階展示室
- 開館時間
- 午前9時〜午後5時
- 休館
- 火曜休館(祝日は開館)
- 入館料
- 無料
- 主催
- 野田市郷土博物館・市民会館
展示資料紹介
展示している資料の一部をご紹介します。所蔵の表記が無いものは、当館所蔵の資料です。※サムネイル画像をクリックすると大きい大きい写真が表示されます。
- 七福村 岩名の桃花(『東葛飾郡案内記』所収』)
- 東葛飾郡明細地図(部分)大正14年
- 大町桂月『東京遊行記』明治39年(野田市立興風図書館所蔵)
- 三上知治著・画『『漫画記行 野の旅山の旅』大正9年
- 野田町御案内(こちらの画像を表示しています)/野田町略図 明治44年以降
- 野田町御案内/野田町略図(こちらの画像を表示しています) 明治44年以降
- 『千葉県地誌略』明治13年
- 『千葉県産業要覧』明治44年
- 絵はがき「野田町清水座生沼の景(No.2))明治末~大正期
- 絵はがき「清水公園座生沼」昭和初期
- 『七福村野田町耕地整理組合事業梗概』昭和6年
- 秋永常次郎『『茨城県医家列伝』明治27年
- 『名家紀行文選』明治30年
- 皇国名誉書画人名録 明治11年
- 東京区分文人専門家一覧表 明治23年
- 宮本鴨北『野田観桃記』明治28年(野田市立興風図書館所蔵)
- 『野田観桃記』挿し絵(野田市立興風図書館所蔵)
- 絵はがき「清水公園〔其一〕 明治末~大正期
- 山口頼定(号・霞村)編『誉の栞』 明治38年
- 旅順陥落野田祝捷会記念写真帖 明治38年
- 山口頼定(号・霞村)編『野田盛況史』 明治38年(野田市立興風図書館所蔵)
- 沙王湖上東久世伯爵ノ舟遊(『野田盛況史』所収)
- 『秦山遺稿』大正8年
- 土方秦山(名・久元)肖像(『秦山遺稿』所収)
- 雑誌『活詩壇』第16巻
展示図録
本展示の図録を800円にて販売しています(こちらをクリックしてください)。
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